生産地
広島県熊野町
歴史的経緯と地域性・特色
江戸時代、平地が少なく農業だけでは生活が苦しい熊野町では、農閑期に近畿方面へ出稼ぎに赴き、帰郷時には仕入れた筆や墨を行商しながら帰ったことから、筆との結び付きが生まれた。熊野町で筆づくりが始まったのは江戸時代末期の1840~1850年頃のことであり、兵庫県の有馬で筆づくりを学び帰郷した佐々木為次や音丸常太、広島藩の御用筆司(筆職人)から技術を学んだ井上治平が、筆づくりの技法を地域に伝え広めたといわれている。
明治時代には、学校教育制度が整い筆への需要が増大するとともに、近畿地方から筆職人を招き技術指導を受けるなど筆づくりの振興に努めたことから、産地としての地位は高まり筆づくりが一層発展していった。また、近畿地方等の産地では、明治時代後期以降、近代産業の発展に伴い筆づくりが衰退したことも、熊野筆の存在感を高めることになった。
熊野筆は、明治時代後期から大正時代・戦前期にかけて生産量が大きく増加し、戦後は、学校での習字教育の変遷やペン・鉛筆等の硬筆の普及などの環境変化に対応して、筆記用の毛筆だけでなく画筆や化粧筆への展開もみせている。今では、毛筆・画筆・化粧筆のいずれでも全国一のシェアを誇り、メイクアップアーティストをはじめ世界中で愛用されている。
セールスポイント
熊野筆は、毛筆・画筆・化粧筆のいずれでも全国一のシェアを有し、画筆や化粧筆は欧米・アジアをはじめ世界中に輸出しており海外でも愛用されている。ワールドカップを制覇したなでしこジャパン(女子サッカー日本代表)に贈られたことでも有名。
指定、認定等
国指定伝統的工芸品(1975 年)、中小企業庁産地概況調査対象産地
生産者組合/主な生産者
主な販売店等
関連博物館・展示施設等
筆の里工房
住所 | 広島県安芸郡熊野町中溝5-17-1 |
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電話 | 082-855-3010 |
営業時間 | 9:00~17:00 |
定休日 | 月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始 |
料金 | 大人:800円、小中高生:250円、未就学児:無料 |
体験 | あり |
URL | https://fude.or.jp/jp/ |
SNS | https://www.facebook.com/fudenosatokobo/ |
参考資料
- 広島県「伝統的工芸品」ウェブサイト
- 熊野筆事業協同組合ウェブサイト
- 中国地域創造研究センター「地域産業発展史-広島県編-」2018年 など