生産地
広島県府中市
歴史的経緯と地域性・特色
府中家具は、大阪で箪笥の製法を習得した内山円三が、18世紀初頭に帰郷し生産を始めたのが起源とされる。当時は、一部の富裕層のみが箪笥を保有する時代であり、広く普及し始めるのは江戸時代後期から末期にかけてとなる。明治時代に入ると、運搬・保管具の長持や生活用具なども製作するようになるが、重く嵩張る品物のため近隣での販売が中心であった。明治時代後期になると大八車が使われるようになり販路は次第に広がっていった。
大正時代初頭には県内随一の家具産地となり、この時期に鉄道が開通し長距離輸送が可能になったことで、府中家具は一層発展することになる。戦後、高度経済成長が始まる頃には、婚礼家具のセット販売を始めたことを機に、高級家具の産地として全国的に知られるようになった。近年は、婚礼家具だけでなく居間・食堂用の家具、取り付け家具や住宅内装用品等も手掛け、今も日本六大家具産地の一つに数えられるほど高い知名度を誇っている。
府中が家具産地となった要因としては、陰陽を結ぶ石見銀山街道沿いに位置し、中国山地産の木材を運搬する中継地・集散地になるとともに、自然乾燥に適した気候で歪みの少ない木材が入手しやすかったこと、付近で自生する良質の桐を用いて古くから木製品を製作する技術があったことが挙げられている。
セールスポイント
府中家具の特徴は、吟味し厳選した素材に、職人の技巧を隅々まで加え、塗り工程で洗練された仕上げを施すこと。これにより、日本六大家具産地の一つ、特に婚礼家具で知られる高級家具の産地として、全国的な名声を得ていた。現在はその培われた技術を活かし、付加価値の高いデザイナー家具や住宅内装家具などの製造を手掛ける総合インテリア産地として活動している。
指定、認定等
地域団体商標(2007 年)、中小企業庁産地概況調査対象産地
生産者組合/主な生産者
主な販売店等
関連博物館・展示施設等
府中家具木工資料館
URL | https://wp1.fuchu.jp/~kagu/museum/index.htm ウェブサイト上で情報提供のみ |
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参考資料
- 府中家具工業協同組合ウェブサイト
- 一般財団法人備後地域地場産業振興センターウェブサイト
- 中国地域創造研究センター「地域産業発展史-広島県編-」2018年 など